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有限会社 アトラス測量 |
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青森県八戸市根城五丁目
12番26号(裁判所前)
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2012年06月12日(火)
今まで農地の転用に絡んだ仕事を多く手がけてきたが、数年前の農地法改正により、転用事情がガラリと変わってしまった。特に、農業振興地域(第1種農地の転用)の転用が厳しく制限されている。事実上、例外を除き転用は極めて厳しい状況。今年に入って、ある自治体での農地の取り扱いに、非常に手こずってしまった経緯を紹介しよう。その地は農業振興地域に入っておらず、農地改良の補助金も出ていない農地にもかかわらず、農地転用の面積を厳しく制限された。その土地は、都市計画法の用途地域内に近接しており、さらに中学校用地に隣接していてもである。既存の社会福祉施設があるのだが、認められたのは既存の半分の面積のみ。農地法改正により、20haのまとまった一団の農地に認定されてしまったのだ。しかし、近い将来に下水道の整備地区に入っている土地が、何故一団の農地に認定されるのか全くもって疑問。交渉するがくつがえることはなかった。最後は、お上の裁定に屈服するしかなかった。新規施設の計画に支障が出たのは言うまでもない。 あと一例。都市計画区域内ではあるが、未線引き地域の自治体の例。第1種住居地域内に、道路位置指定申請をして道路を築造する事例だが、面積も3000平米以内と規定内でも、通常2か月で出る許可が、4か月もかかってしまったのだ。農地転用に何ら問題の無い地区のはずだが、正当な説明も無く数か月干されてしまった。当然、業者さんの売買計画に支障が出たことは想像できるだろう。このように、農地法改正により、今までの常識が全く通用しない状況。第2種農地ともなれば、青森県から追加の説明を矢継ぎ早に、何度も求められる。各自治体市町村農業委員会事務局も相当対応に苦慮しておられるようだ。元はと言えば政府の通達が効いているのである。どうも理不尽な要求に思えてならない。農地法改正の骨子としては、企業の新規参入を促すことと、農地の転用を厳しく制限することにある。しかし、就業者の高齢化(平均68歳)と若者の農業離れの深刻化は止まらない状態。ここにきて、TPP問題(環太平洋戦略的経済連携協定)が複雑に絡んでくる。過去、ウルグアイラウンドWTO(世界貿易機構)の交渉で、日本は頑なに自由化を阻んできた経緯がある。今でも米や牛肉などの農産物に高い関税が掛けられ、日本の農業が守られている。しかし、農地法改正で、若者や企業の参入を煽っておきながら、政府がTPPに関心を寄せているのであれば、果たして整合性は取れているの?と、首をかしげたくなるのでは。自由貿易になれば、チャンスとみる人もいるようだが、大概の農家は立ち行かなくなるのではないだろうか。我が家も3アールを耕す農家であるが、そもそも日本の農業は、世界の穀倉地帯からみれば、家庭菜園の規模でしかないと言われている。我が家の3アールから採れた野菜を売って、生活するなど考えてもみない。利用集積の観点から見れば、20haぐらいのまとまった農地を、大型機械で効率的に耕すことができれば収入も出ると思うが。しかし、日本の国土は山谷が多く、地形が変化に富んでいる故に、まとまった農地が少ないという、地理的不利をかかえている。政府の農地法改正の真意がどこにあるのかまだ見えてこないが、農地転用にかかわる者として今の政府のやりかたには、苦言を述べずにいられないのである。農地を守ることは当然大事でしょう。しかし、もう少し状況を鑑みて、柔軟の政策を打ち出せないものかと思う。 本当に、一朝一夕で議論するような、簡単な問題ではないことを十分承知している。しかし、農地法改正とTPP問題は、水と油と言っても過言ではない。決して交わることのない性質の政策は、シーソーの原理と同じ。どちかかが立てば、片方が沈むだけなのだ。
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