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有限会社 アトラス測量 |
〒039-1166
青森県八戸市根城五丁目
12番26号(裁判所前)
TEL:0178-44-0333
FAX:0178-44-0659
E-Mail:
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2011年12月09日(金)
12月期八戸ペンクラブ講演会が開催された。講師選定を任されたので、南郷歴史民俗資料館の古里淳(じゅん)氏にお願いした。以前から大変興味を持っていた南郷のお宝の講演を楽しみにしていた。演題は「青い目の人形」。南郷歴史民俗資料館に収蔵された、コンポジション(木くずを固めた物)製の人形に隠された物語。古里さんの講演で明らかとなる。歴史を遡ること大正の終わり頃。アメリカに渡った日本人移民が低賃金でまじめに働くので、日本人に対し反感が高まっていた。日本人移民締め出しを目的とする「新移民法」が成立し、日米の関係は険悪な状態であった。その頃、険悪な関係を憂慮し、ギューリック博士の提唱で、人形を通じて両国の親善をはかることを大正15年に計画した。そして、いよいよ昭和2年1月に、青い目の人形を乗せたサイベリア丸が横浜港に到着。約12000体の青い目の人形が届けられた。青森県には220体の人形が届けられ、そのうち15体の人形が八戸の小学校に贈られた。各校で歓迎会が行われ、その様子は当時の「奥南新報」新聞で紹介されている。その後、各校からお礼の品を贈りたいという申し出が多く、国際児童親善大会で、答礼の人形を送ることにした。 青森県からも「青森睦子」と名付けられた人形がアメリカに贈られた。大きさが1mもある日本人形。現存しており、ニューヨーク州ロチェスター市科学博物館に保存されている。 その後、日米の関係が悪化し、日本も次第に軍国主義の色が濃くなっていた。そして、ついに昭和16年。「青い目の人形」の願いもむなしく日米は敵国となってしまった。親善の人形も敵国のスパイと揶揄され、大部分が処分されてしまった。現存している数はわずか300体。3パーセントの確立である。南郷のメリーちゃんは、旧島守小学校の屋根裏から発見された。善意あるかたが、屋根裏に隠してくれたので難を逃れたのだそうだ。残念ながら八戸市内の小学校に贈られた人形は、1体も現存していない。人形を隠した人は、見つかれば重罪にあたるので泣く泣く処分したに違いない。近年、南部小学校で発見された例もある。古里さんが鑑定して、あきらかとなった。どういうわけか、弘前地方の小学校で処分をまぬかれた人形が多い。信仰的な部分が影響しているのではとのこと。現存している人形は、服装や顔立ちが全部違っている。日本に来た時にパスポートを携えており、名前がつけらている人形も多い。いかに、当時の制作者が愛情を込めていたかうかがえる。 私たちは二度と戦争を繰り返さない為にも、この人形に込められたメッセージを今一度思い起こす必要があると思う。平和と友好の証として贈り合いをしたのだから。パワー−ポイントを使って要領良くまとめらた古里さんの解説のお蔭で、おおよその経緯と概要が良く理解できた。古い玩具を研究するものにとっても、意義ある講演であり、見聞も広がりました。 質問タイムで鑑定額をおそるおそる伺った。値段をつけらないほど貴重な物とやんわりとかわされた。おもわず下世話な質問をしたことをお許し願いたい。
80年以上の歳月を経て、数奇な運命をたどった人形たち。青い目の奥に、平和に対するメッセージを見たような気がする。まるで現在の情勢を憂慮している、哀しげな顔に見えるのは気のせいだろうか?
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