この作品三副対は禅師が明治30年(77歳)に書いた作品で、達磨大師(禅宗の始祖、南インドのバラモンに生まれ、中国に渡る。)が、はじめて武帝(梁(りょう)の国の始祖)に接見し、問答した際の言葉である。右側の掛け軸は「浄智妙円體自空寂」左側は「如是功徳不以世求」と書いてあり、體意味は浄智妙円の体(たい)、自ずから空寂なり。是の如き功徳は、世を以って求めず。(じょうちみょうえんのたい、おのずからくうじゃくなり。かくのごときくどくは、よをもってもとめず)解説すると、汚れのない清らかな智恵をそなえた完全な本質は空寂そのものであである。これこそが功徳であり、こういう功徳というものは、世事をもってしては求めることができないとやくせるだろう。
|